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20話 最悪な出会い

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-11-05 06:00:43

 しかし、レイニーは、魔力が送り込まれていることに全く気づいた様子もなく、楽しそうに微笑み続けていた。ディアブロの心には、一抹の不安と、そして新たな恐怖が広がり始めた。

(なぜだ……? どうして効かない……? これほどの精神支配のスキルが通じないとは、一体どういうことだ?)

 ディアブロは内心で激しく動揺しながらも、それを表情には出さず、レイニーを見つめ続けた。

 レイニーがニコッと微笑み、ディアブロに小さな声ながらも、はっきりと言った。

「ねぇ……そんな、攻撃じゃなくてさぁ……。もっとスゴイ攻撃をしてよ。ホント、つまらないなぁ……。未知の力を教えてくれるんだよね? それ、未知だけどさぁ……つまんなーい。もっと派手なのが良いかなーっ」

 レイニーにジロッと見つめられて、悪魔は背中が凍りつくような恐怖を感じた。精神支配は成功したはずだ。なぜ効かない? それ以前に、なぜ最上位の悪魔である自分を見て怯えないんだ!? 精神支配がばれていただと? それに人間に効かない? あり得んぞ……ディアブロの心臓が、ドクンと不規則な音を立てた。

「あ〜それ、もう……いいやぁ。飽きちゃったぁ〜」

 レイニーの言葉に、ディアブロは内心で安堵した。精神支配を諦め、解放されることを期待したのだ。この部屋にはまだ結界が張ってあり、もし逃げ出そうとすれば、レイニーに再び封印されるかもしれないと考えた。簡単に封印を解ける子供なのだから、封印をすることもできるだろうと、ディアブロは推測していた。

 ディアブロの心中では、この異常な状況に困惑し、そして深い恐怖を抱いていた。こんな人間の子供に、最上位の悪魔である自分がここまで追い詰められるとは……。様々な不安が胸をよぎるが、必死にそれを押し隠し、単刀直入に解放をしてくれないか聞いてみた。

「そうか、悪かったな。つまらないか……。では、ここから解放してくれないか?」

「え? だめだめ〜♪ 俺の実験に付き合ってもらわないと〜。キミ、悪魔だよね? 悪魔って現れるのって珍しいって本に書いてあったんだよねーっ♪」

 レイニーが、まるで実験動物を見るかのような、どこか不気味な笑みを浮かべてディアブロを見つめた。その瞳は好奇心でギラギラと輝いている。

 最上位の悪魔である自分を実験に使うだと? 悪魔だと分かっていて、この振る舞いなのか、コイツ大丈夫なのか? こんな奴に付き合っていたら、こっちまでおかしくなりそうだ。なんでこんなヤツに声を掛けちまったんだ、最悪じゃないか……ディアブロは、早くこの状況を終わらせたい一心だった。

 魔法やスキルが効かないのなら、物理攻撃で切り裂いてやる。何でも切り裂ける悪魔の爪で。この爪は特殊で、思いや希望などの形のないものでも切り裂ける。それが魂だとしても。魂を切り裂かれれば、蘇生魔法も効果がなくなるし、切り裂かれた場所の回復魔法も治癒薬も効かない。

 ディアブロは、内心で焦りながらも、相手はたかだか人間の子供だと自分に言い聞かせた。この子供は魔法に優れているが、物理攻撃を防げるわけがないだろうと確信していた。人間とは、魔法か物理攻撃のどちらかが優れていれば、どちらかが劣っているものだ。

 ディアブロの手には鋭い爪が光り、瞬時に動いてレイニーの目の前に現れると、キラリと光る爪を喉元を狙い振り下ろした。

「よし、やはりただのガキだな……まったく反応ができていない」

 ディアブロは勝利を確信した。しかし、甲高いキーンという音が鳴り響き、ディアブロの爪はレイニーの喉元で弾かれた。

「は? ……ん!?」

 ディアブロは、何が起こったのか分からないという表情で固まった。

「あぁ〜、そんな攻撃は効かないよぉ。残念でしたぁー♪ 獣みたいな爪が効くわけがないじゃん〜」

 レイニーは、子供の戦いごっこを楽しむかのような口調で、悪魔のプライドを傷つける言葉を放った。

「は? 意味が分からぬ。我の爪は、人間のバリアごとき――造作もなく切り裂ける。バリアなど、肉体も魂もまとめて断ち斬るはずだぞ……」

 本来なら、自分の爪を獣の爪と同レベルにされたことに怒るところだが……今は、それどころではなかった。何もかもが想定外すぎる。

「へぇ……そうなんだぁ。残念だけど……俺には効かないみたいだね。無駄な抵抗しても疲れるだけだよっ。大人しくしてなよ。それに、あまり暴れるようなら……キミ、消・す・よ?」

 レイニーの言葉に、ディアブロは凍りついたように動けなくなった。一瞬、明らかに強大な殺気を感じたのだ。それも人間の殺気とは次元が違う、もっと上位の存在の殺気を感じ、血の気が引いた。

「えへへっ、冗談冗談だよ♪ 大切な実験の材料を消すわけ無いじゃんっ。あははっ♪」

 レイニーは無邪気に笑い、悪魔の最上位であるディアブロを実験の材料として見ていると、ハッキリと再び言い放った。

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